国家試験という壁

看護師としてやっていくには患者様への思いだけではやっていけません。人の役に立ちたいという思いは立派なものです。しかし、看護師という仕事はかなり専門的な仕事ですので、それなりの知力もいります。つまり多くのことを知っておかなくてはならないのです。そのために看護師になるには国家資格が必要となります。いろんな知識を身に付けたいという勉強熱心な人は看護師という仕事に向いているでしょう。
看護師の国家試験は合格率が毎年90%前後になっています。他の国家資格と比べれば、合格率はかなり高いほうですが、それでも10%前後は落ちているということを考えれば、楽な試験ではありません。やはり人の命に関わる仕事ですから、それなりの知識が必要だということでしょう。3年なり4年、看護師になるために実習なども重ねてきたでしょう。それが、2月の試験で点数が取れなかったら看護師にはなれないのです。どれだけ実習で患者様のために経験を積んできたとしても、座学で点数が取れなければダメなのです。
問題の内容は看護の深い部分から一般常識とも考えられるような問題まで多岐に渡ります。広い範囲をまんべんなく勉強し、80%以上の得点を取らなくては合格できません。かなりプレッシャーがかかる試験となります。しかし、そのプレッシャーをはねのけるには日頃から勉強をどれだけ積み上げたかが勝負になります。中途半端な勉強では合格できないのが分かるでしょう。
また、看護師になるためには、その前段階として、看護師養成の大学や短大、専門学校に入学することが必要となります。近年、その人気を受けて、看護学校は難化の一途をたどっています。看護学校の募集定員に対して、応募者のほうが圧倒的に多いような状態です。入学試験の倍率は4倍や5倍は当たり前、ときには10倍を超える倍率になる学校もあります。そのような、まさに受験戦争を潜り抜けないと看護師の勉強をすることさえ許されないのです。また学校側も、学力の低い学生を入学させてしまった場合、その学生が国家試験に受からなければ、学校の信用を下げてしまうことになります。多くの学校が最近では国家試験100%合格を謳い文句にしています。そういう学校側の思惑もあって、看護学校への入学はどんどん難しくなっています。
看護師になって人の役に立ちたいと考えるのは立派なことですが、それに伴って勉強もしなくてはならないのです。ただ強い思いを持っているだけではダメです。それに行動がついてこなくてはいけません。それだけ看護師という仕事は専門的な知識が必要なのだということです。