看護師の多くは病院を中心に医師や先輩看護師からの指示の範疇で活動し、また、いつでも仲間のフォローが受けられる状況にあります。その環境に慣れすぎているせいか、自立性に欠け、起業マインドが弱いという問題点があります。また、看護の思いを濃く出しすぎると多職種との医療連携に不具合を生じさせることもあるのです。
看護職の多くは費用対効果について考える意識は低く、ついついサービスをしてしまうのが特徴のひとつです。特に相手が満足を得られていないと感じた場合に顕著にあらわれます。ですが、患者さんや利用者というのは真に自分たちが望む支援を得られたときには相応の報酬を支払おうとします。看護という職能の強みを生かし、医療上の必要性も加味した上で患者さんの望むサービスの提供を心がけていくことが解決策であり、結果的に経営の安定につながるのです。
また、看護師が経営者となり施設を運営していく利点は医療と生活の両者の視点を持っている強みがあるからこそ、その橋渡しができるという点にあります。どうしても医療を優先させなければいけない状況はあるでしょうが、真に中立的な立場でかかわることが出来れば、どちらを優先すべきか悩んだときでも一人ひとりの患者さんに適した選択が可能です。また、納得のいく医療や在宅療養を選択できます。さらに看護職にとっても自立した考えを持って看護実践できる場となり、働きがいを感じることができる場にもなります。看護の底力が地域全体の力をアップさせることも可能なのです。